気軽にイタリアンやフレンチが楽しめるということで、2010年代から人気を集めた「俺のイタリアン」や「俺のフレンチ」ですが、運営会社である俺の株式会社を創業した坂本孝氏は、飲食店を出店するにあたり同業者に負けない「競争優位性」を作る方法について本を出版しています。
今回は坂本孝氏や出版した「俺のイタリアン、俺のフレンチ」についてご紹介しましょう。
俺の株式会社の概要
社名 | 俺の株式会社 |
設立日 | 2012年11月1日 |
取締役会長(創業者) | 坂本孝 |
事業内容 | 飲食店経営 |
従業員数 | 1273名(うち社員数433名、2019年2月末現在) |
本社所在地 | 東京都中央区銀座8-5-6 中島商事ビル4階 |
業態 |
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俺の株式会社は、前身のVALUE CREATE株式会社から事業を移管し、2012年に設立された会社です。
俺のイタリアン新橋本店がオープンしたのは2011年9月、俺のフレンチ銀座本店がオープンしたのは2012年5月のことで、俺の株式会社が設立される前です。
それから俺の株式会社により、「俺の」ブランドが拡大していき、現在は「俺のスパニッシュ」や「俺のGrill」、「俺の割烹」など、様々なテーマの飲食店を経営しています。
坂本孝氏の経歴
坂本孝氏は、1940年に山梨県甲府市で誕生しました。
これまでカーウォッシャーや化粧品販売など、様々な事業を手掛けてきましたが、その中でも経営者として名前が知られるようになったのは、1990年にブックオフコーポレーションを創業してからのことです。この時、50歳でした。
約16年間に渡りブックオフを成長させ、全国1000店舗まで拡大させることに成功しました。
この時、飲食店事業として、焼肉屋、ラーメン屋も開業しています。
実はリサイクル事業と飲食は、「付加価値を付けてモノを売っている」点で似ていると、語っています。
不動産の経験からモノを右から左に流すだけではなく、そこに付加価値をつけないと存在意義がないということを十分に理解されたようでした。
そして2007年から突然ブックオフの会長を辞任してしまいます。
会長を辞任してから2年後、2009年にVALUE CREATE株式会社を設立しました。この時、坂本孝氏は69歳です。
69歳という年齢に関係なく、新しいビジネスにチャレンジし、そして見事に成功を収めたのですが、実は坂本孝氏の人生は全てが順風満帆にいっていたわけではありません。
俺の株式会社を設立する前は12個の事業経営に取り組みましたが、中古ピアノの販売とブックオフしか成功しておらず、2勝10敗の成績だったと坂本孝氏自らも語っています。
しかし、俺の株式会社を設立後は非常にスピーディーに飲食店を出店・拡大していることから、3勝目を挙げたと言っても過言ではないでしょう。
坂本孝氏は現在も現役で、俺の株式会社の経営に携わっています。
「俺のイタリアン、俺のフレンチ」とは
「俺のイタリアン、俺のフレンチ」は、2013年4月に発売された本です。
ビジネス書大賞2014にもノミネートされており、当時は高い注目度を集めていました。
本には主に下記の内容が書かれています。
- 俺のイタリアンが誕生した背景
- 坂本孝氏が歩んできた事業家人生
- ブックオフがなぜ中古販売大手になれたのか?
- 京セラ創業者・稲盛和夫氏との出会い
- 俺のイタリアンや俺のフレンチを進化させるための取り組み
- 坂本孝氏の経営者としての想いや今後の目標
俺のイタリアンという店は、これまで日本人の多くがイメージしてきた「イタリアン」という概念を大きく変えた飲食店とも言えます。
イタリアンレストランというと、非常にオシャレではあるものの高額なイメージがあり、特別な時しか足を運べないお店が多い印象がありました。
しかし、俺のイタリアンは“立ち飲み”スタイルにすることで驚異の回転率と原価率を叩き出し、低価格で美味しいイタリアンを提供できるようにしたのです。
本の中では、坂本孝氏が立ち飲み居酒屋とミシュランの星が付くようなレストランに注目した背景について述べています。
近年の飲食店業態で特に盛り上がっているのは、立ち飲み居酒屋とミシュランの星が付くようなレストランでした。
通常であれば、どちらか一方を参考に飲食店経営を行うものですが、坂本孝氏は「2つの業態をくっつける」ことにしたのです。こうして俺のイタリアンが誕生したと言われています。
また、消費者にインパクトを与えつつ経営を維持するために、坂本孝氏は「競争優位性」を高めた運営を行ってきました。
「俺のイタリアン、俺のフレンチ」の中では、競争優位性をどう出していくのかも語られています。
これから経営者を目指す方にはもちろん、ビジネスの考え方についても学べる本と言えるでしょう。
実際にこの本を読んだ方から、このような口コミが見られます。
ブックオフの創業者が、ブックオフの成功と、その後に立ち上げた飲食「俺の」シリーズについて述べたもの。
立ち飲みスタイルの飲食店はこれまでもあったが、高品質+低価格という分かりやすい機能性を担保することで成功した事例。
この一見、相反する二つの価値をどう成立させているか?が興味深く面白い。また、なぜ、有名シェフがこの考え方に賛同したかも非常に大事なポイント。
引用元:Amazon
口コミで多く見られたのは、やはりビジネスの成功事例として考え方や成功に至った背景が分かるなどの声です。
「俺のイタリアン、俺のフレンチ」は経営理念や商売をするための重要な考え方と根拠なども述べられているため、経営の形を学んでいけます。
俺の株式会社の今後の展望は?
坂本孝氏は、俺の株式会社について「料理人をはじめ全従業員の幸せを追求する会社」と述べています。
お店の利益を上げることはもちろんですが、社員が成長できる環境づくりも考え、既に構築しているのです。
プロ養成プログラムにより、一人前の料理人になるためには10年かかると言われていましたが、約2年と短い期間でプロの料理人を目指すことができます。
また、俺の株式会社では社内起業やFC指導、海外経験を作るための制度を確立しており、社員一人ひとりが成長できる環境を整備しています。
全従業員の幸せを追求するために、今後も俺の株式会社ではより良い社内制度・環境の確立に努めていくことでしょう。
また、会社としては銀座で30店舗の展開とニューヨーク進出も目指しています。
現在、海外出店はソウルと上海の2店舗のみです。今後はさらに海外進出を果たしていくと予想できます。